一眼レフカメラを購入して初めての夏を迎えるという方も多いと思います。
やっぱりカメラを買ったら夏の風物詩である「花火撮影」にチャレンジしてみたいですよね。
- 花火撮りたいけど難しそう。
- 花火撮ってみたけど、真っ白な写真になった。
- ブレブレの写真になった。
私もカメラを買って最初に花火を撮りに行ったときはこんな気持ちでした。
でも、花火撮影は難しそうに見えて、ポイントさえ抑えてしまえば簡単です。
今回は、私が花火大会で実際にやっている撮り方と、一眼レフカメラの設定を詳しく解説します。
この設定通りにすると初心者でも簡単に綺麗な花火を撮ることができます。
この記事でわかること
- 花火撮影のピント合わせはどうするの?
- 花火撮影に最適なカメラ設定は?モードは何で撮る?
- 花火撮影に必要なアイテムは?
花火のカメラ設定と撮影方法
① ピント合わせ
花火の撮影で一番重要なのは、ピント合わせです。
ピントはマニュアル(MF)で合わせます。
レンズにAF(オートフォーカス)/MF(マニュアルフォーカス)の切り替えボタンが付いていますので、これをMFの方に動かします。
そしてレンズのピントリングをくるくる回してピントを合わせるのですが・・
暗い中、ファインダーを覗いて目視でこの作業をするのは大変です。
そこで、ライブビュー(カメラのディスプレイ)を使ったピント合わせを行ってみましょう。
ライブビュー画面を表示します。
そして、遠くにある目立つ建物や光の部分を拡大します。
この状態だと、建物がぼけて見えていますね。
はっきり、くっきり見えるようにレンズのピントリングを回して調節します。
バッチリ合いました。これでピント合わせはO.K.です。

では、ここからはカメラ本体の設定をしていきます。
② 設定
・バルブ(BULB)モード
まず、花火撮影のときに使うモードはBULBモードです。
バルブモードとは、マニュアル(M)モードの一部で、自分がシャッターを押している間ずっと撮れるというモードです。
ほとんどの一眼レフカメラにはモードダイヤルに B という表示があります。
もし、Bモードが無い場合は、Mモードを選択し、シャッタースピードを30秒より長くするとBULBという表示が出てきます。
・絞りは F11から
花火撮影の場合、絞りは明るさに関係してきます。
最初はF11くらいで撮り始めてみて、明るさを見ながら少しずつ調整していきましょう。
詳しくは下の露出の項目で解説します。
・ISOは100
ISOは、カメラの設定できる一番低い値に設定しましょう。
ほとんどのカメラではISO100、ミラーレス一眼や入門機では ISO200 という機種もあります。
・露出
私自身、初めての花火撮影で、バルブモードで撮ろうとしたとき、「あれ露出は?明るさ調整する項目がないんだけど!?」とパニクりました。
実は・・バルブモードには露出の ± ボタンはありません。
と言うのも、バルブモードは、シャッタースピード(シャッターを押している時間)、絞りやISOの設定によって露出が変わってくる設定なんです。
もちろん花火の明るさも種類によって違うので、その時々に応じてこれら3つを最適な設定にする必要があります。
では、どうやって写真の明るさを変えたら良いか?簡単に書いてみます。
《シャッタースピードと絞りとISOの関係性》
撮れた写真が | シャッタースピード | 絞り | ISO |
明るすぎる場合 | 短くする | 絞る | 下げる |
暗い場合 | 長くする | 開ける | 上げる |
例えば、撮れた花火写真が明るすぎて白っぽくなっている場合・・
3つの解決方法があります。それぞれの原理を説明するとこんな感じです。
❶ シャッターボタンを押す時間を短くする。
シャッターの時間を短くする→光を取り込む時間が短くなる→暗くなる
まずは、シャッタースピードをコントロールする方法です。
シャッターボタンを押している時間を短くすると、光を取り込む量を減らすことができます。
❷ 絞りを絞る。
絞りを絞る → 光を取り込む穴の大きさが小さくなる → 暗くなる
人間の目も、暗いところからものすごく明るいところに突然出されると、まぶしくないように目を細めますよね。
カメラでも同じことが当てはまります。目を細めると光が入らなくなるのと同じように、絞りを絞ると光を取り込む量を減らすことができます。
絞りを絞るとは変な表現ですが、カメラをする人たちの間では普通に使われます。
【 F2.8 開ける ← F8 → 絞る F11 】
Fの値を小さくしていくことを開ける、大きくしていくことを絞ると言います。
絞りについてはこちらの記事で詳しく説明しています。
関連記事
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絞りとは?【一眼レフカメラ初心者必見!】絞りで写真は劇的に変わる!
❸ ISOを下げる。
ISOを下げる → 光を取り込む能力を抑える → 暗くなる
ISOは、「カメラの性能を無理やり上げてくれる魔法」と考えると良いです。
ISOを上げると暗い中でもブレずに撮れるようになりますが、上げすぎるとザラザラとした写真(ノイズのある写真)になってしまいます。
魔法の使いすぎには注意が必要です。
花火撮影の場合は、花火自体がかなり明るいのでISOを上げることはまずないでしょう。一番低い値に設定しておきましょう。
・WB(ホワイトバランス)はオート
ホワイトバランスを変えると花火の写真にどう影響するのか?
実際に撮影した写真を使って解説します。

WB(ホワイトバランス)3150K RAW撮り後編集ソフトで編集。

WB(ホワイトバランス)5250K RAW撮り後編集ソフトで編集。
このように色鮮やかな花火の場合は、ホワイトバランスは低め(蛍光灯側)の方が綺麗に色が出ます。
一方、クライマックス時の柳系の花火の場合。

WB(ホワイトバランス)3150K RAW撮り後編集ソフトで編集。

WB(ホワイトバランス)5250K RAW撮り後編集ソフトで編集。
しだれ系の花火は、ホワイトバランスの色温度を高めにすると豪華に見えます。
このように花火に応じて、ホワイトバランスを変えるとより綺麗な写真が撮れます。
ただ花火大会で、種類に合わせてホワイトバランスの設定を変えるのは至難の技です。
設定をいじってるうちにも次から次にバンバン上がるので、せっかくの花火を撮り損ねることにもなりかねません。
なので、ホワイトバランスは後から編集で変えるのがおすすめです。
花火撮影では、ホワイトバランスまで気が回らないのでオートで撮っておきましょう。

・記録モードはRAW
花火を撮る場合は、後から編集することを考えて、必ずRAWで撮るようにしましょう。
RAWで撮っておくと、色温度(WB)や明るさなどを編集しても画質が落ちにくくなります。
花火撮影後の編集方法についてはこちらに詳しく書いています。合わせてご覧ください。
関連記事
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花火の写真の編集方法|CameraRAWを使ってドラマチックに仕上げよう!
・ノイズリダクションはOFF
一眼レフカメラには、1秒以上シャッターを開けると、自動的にノイズを少なくする機能が付いている場合があります。
これをノイズリダクション機能と呼ぶのですが、花火撮影の場合はこの機能を必ずオフにしておきましょう。
なぜかというと、ノイズリダクションをオンの状態で撮影すると・・
1枚撮り終わった後、カメラが自動的にノイズリダクションの動作に入り、数秒間から数十秒間シャッターが切れなくなってしまいます。
「ノイズリダクション中に、綺麗な花火が上がって撮り損ねた!」ということがないよう、ノイズリダクションは必ずオフにしておきましょう。
花火撮影に必要なもの
続いて、花火撮影に必要なもの。
私が花火を撮る際に必ず持っていくアイテムをご紹介します。
必要なモノ
- 三脚
- レリーズ
- 大容量のSDカード
- 黒いうちわ
- 虫除けスプレー
① 三脚
このような花火を撮る場合、三脚は必須です。長い時間(数秒〜数十秒)シャッターを開けるので三脚がなかったら間違いなくブレブレの写真になってしまいます。
三脚はプラスチックのものではなく、安定性の高いしっかりしたもの(アルミ・カーボンなど)を選びましょう。
花火撮影ってベストスポットを求めて山道を歩いたり坂を登ったりと大変。
私も最高の1枚を求めて毎回汗かいてます。ただでさえ重たいカメラ機材を抱えていくので、三脚は持ち運びしやすいものがおすすめ。
私が花火大会におすすめする三脚はこれ
マンフロット社のElementは、アルミ製で安定性が高くかなりしっかりしているので花火撮影にぴったりです。
また、たたんだ状態で32cmとコンパクトながら、伸ばすと143cmの高さになります。
これだけの高さがあればガードレールや手すりなど障害物があってもしっかり撮影することができます。
重量も1.15kgと持ち運びもラクラクです。
リュックにも入るサイズなので、険しい山道を登る際も両手が使えて安全です。
かなり使い勝手がいいので、花火撮影の三脚に迷ったら「Manfrotto トラベル三脚 Element」を選んでおけば間違いないです。
② レリーズ
レリーズとは、カメラ本体でシャッターボタンを押す代わりに、手元でシャッターを切ることができるアイテムです。
花火撮影の場合は、シャッターボタンを押し続ける必要があるのでカメラに力が伝わりブレやすいです。
そのブレを軽減してくれるレリーズは必須アイテムです。
メーカーや機種によって、適合するレリーズが異なるので購入の際はよく確認してから買いましょう。
③ 大容量 & 高速のSDカード
花火大会では、次から次にシャッターを切っていきます。
なので、容量の大きなSDカードが必要です。
また、書き込み時間の遅いSDカードだと、書き込んでいる間はカメラが止まってしまうことも。
サクサクっとストレスなく花火撮影を楽しむためにも書き込み時間の速いSDカード(class10以上)を持っていきましょう。
私がいつも使ってるSDカードはこれ
花火の撮影はシャッターチャンスを逃さないために、立て続けに連写することが多いんですが、こちらのSDカードは書き込み速度も十分。
ストレスなく花火の撮影を楽しむことができます。
SDカードの書き込み時間の速い・遅いの見分け方は、こちらの記事にまとめています。
関連記事
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【SDカードの選び方】一眼レフカメラにおすすめのSDは?安いのでも大丈夫?
④ 黒い団扇
黒いうちわは、自分の好きな花火だけを写真に入れ込むのに使います。
画面のいろんな場所にいろんな種類の花火があった方が華やかに見えますよね。
花火大会では、同じ場所に同じ花火が連続して打ち上がるパターンがほとんどです。何個も何個も重なってしまうとガチャガチャした花火写真になってしまいます。
また自分の望むところに花火が上がるまで、ずっとシャッターを開けておくと、今度は明るすぎる真っ白な写真になってしまいます。
そこで登場するのが、この黒団扇です。(今回自作したのは若干茶色ですが・・問題ありません!)
使い方は簡単。
自分の狙っている花火が上がってくるまで、黒い団扇をレンズの前にかざすだけ。
そうすることにより、団扇でレンズを隠している間は何も写らなくなります。(暗いので団扇の影も全く写りません)
これで、長い時間シャッターを開けながら、自分の好きな花火だけを選んで撮ることができます。
もちろん細切れで撮影して、編集で自分の好きな花火だけを重ねて華やかな一枚に仕上げるということもできます。
「いや合成はダメでしょ!花火は一発撮りじゃなきゃ!」という方は、黒団扇撮影にトライしてみましょう。
⑤ 虫除けスプレー
花火撮影においてのもう一つの重要アイテム、虫除けスプレー!
場所取りの待ち時間も含めて長期戦になるので、虫除けスプレーは必須です。
最近ではマダニの被害もあるので忘れずに持っていきましょう。
まとめ
もう一度基本設定を簡単におさらい。
ピント | MF(マニュアルフォーカス) |
モード | BULB(バルブ)モード |
絞り | F 11 から |
露出 | シャッターボタンを押す時間か絞りで調整。 |
ホワイトバランス | オート。編集ソフトで調整。 |
記録 | RAWモードで記録。 |
ノイズリダクション | 必ずオフ。 |
ポイントと設定さえ抑えてしまえば、花火撮影はとても簡単で楽しいものです。
皆さんもぜひカメラを持って花火大会に出かけてみましょう。
人気のある花火大会だとカメラマンがたくさん来るので、三脚の置ける見通しの良い場所はすぐに埋まってしまいます。早めに会場に行くこともお忘れなく!
マナーを守って花火撮影を楽しみましょう。それでは良い夏を!
花火の撮影技術をしっかり学びたい方はこちらの本もおすすめです。
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