一眼レフカメラを始めて一番最初にぶつかる壁が【絞り】の壁です。
実は、この質問のすべてに関係しているのが「絞り」なんです。この「絞りの壁」を乗り越えると写真の腕は劇的に上達します。
絞りとは?
絞りを説明するのはけっこう難しいので、まずはこの写真をご覧ください。
ちょっと前にTwitterで見かけて分かりやすい!と思ったので、手持ちの写真で作ってみました。絞りの働きをよく説明しています。
猫の目って、黒目がまんまるの時と縦一文字になっている時がありますよね。あんまり詳しく観察したことがない人もいるかもしれませんが、実は周りが暗い時は黒目がまんまるに、明るい外では縦一文字に、と言った具合に変化しているんです。猫自身の目が自動調節しているわけです。
実はカメラのレンズにも、この猫の目と同じように開いたり閉じたりする機能が付いています。
こちらが、レンズの正面から撮った写真です。
左上は、絞り2.8の状態のレンズです。Fというアルファベットは絞りのことを表しています。
F2.8 → F5.6 → F11 → F22 と数値が大きくなるつれ、穴のサイズがどんどん小さくなっていきます。
今度は後ろ(カメラ本体側)からの写真です。
こちらから見るとレンズガラスの屈折により、レンズ正面から見た以上に穴が大きく見えますね。
F2.8 では、光の穴がまんまるに見えます。F5.6 まで絞ると少し小さくなって六角形のような形になってきました。この形はレンズの絞りの羽根の数によって変わってきます。四角形とか七角形とかいろいろな形があります。
F11 → F22 となっていくと、穴の大きさがどんどん小さくなっていきます。
ここでちょっと用語解説を。
・絞りを絞る → レンズのF値を大きくする。(穴を小さくすること)
・絞りを開ける → レンズのF値を小さくする。(穴を大きくすること)
・開放 → レンズの絞りF値の一番小さい値のこと。(レンズによって最小値は変わります。)
では、ここまでで「絞り」というのが、レンズの穴の大きさだということがわかりました。
絞りを変える=レンズの光の穴の大きさが変わる
ここからは、この「絞り」によって写真がどう変わるのか?どう影響を受けるのかを見ていきましょう。
絞りの働き
絞りの機能は大きく2つに分けることができます。
① 光の量をコントロールする。
絞りの大きな働きの1番目は、光の取り込みです。
これは先ほどの猫の目の写真と比較しても分かりやすいですよね。
絞りを絞ると目の中に入ってくる光の量が少なくなります。なので、猫は昼間や明るい場所では、瞳孔がとても狭くなっています。
絞りを開くとその分光の入ってくる量が多くなります。夜や暗い室内になると猫の目は「まん丸」になります。それは、暗い中でも光を一生懸命取り込もうとしているからです。
カメラの場合も同じように、絞りを開くか絞るかによって、取り込める光の量が変わってきます。
これは絞りを変えながら撮った写真です。絞りの数値が大きくなるにつれ、どんどん暗くなっていっているのが分かります。 ※ 絞り以外の設定は全て一緒で撮っています。
レンズの穴が小さくなっていくのでそれだけ取り込める光の量が減っていくのが原因です。
② 被写界深度を調節する。
被写界深度ってなかなか聞きなれない言葉ですよね。被写界深度とは簡単に言うと、「ピントの合う範囲」のことです。
被写界深度を説明するのに写真を撮ってみました。
こんな感じで撮っています。
カメラから一番近いのが、はちみつ、loretta、バジルの順番に置いてあります。
この写真のピント合わせは、全てはちみつに合わせています。
F1.4 では、一番近いはちみつにしかピントがあっていません。
F5.6 くらいになると、だんだんと3つの被写体の文字などが読めるようになってきます。
F16 では、はちみつ、Loretta、バジルまで全部にピントが合っています。
このように絞りを絞っていくことで、ピントの合う範囲が広がっていきます。
先ほどの写真では、絞りを絞っていくとどんどん暗くなっていっていますが、この被写界深度の説明の写真では、明るさはほとんど変わりません。
その種明かしは、シャッタースピードにあります。
絞りを絞っていくと、光を取り込める量が少なくなりますが、その分シャッタースピードを遅くすることで、十分な光の量を取り込んでいるます。
つまり、絞りとシャッタースピードは密接に関係し合っているんです。
絞りとシャッタースピードの関係性については、また詳しく書こうと思います。
今回は、絞りによって、光の量ピントの合う範囲が変わるということだけ覚えておきましょう。
絞りを変えていろんな写真を撮ってみよう!
絞りを変えて写真を撮るには、一眼レフのモードダイヤルを【Av】というところに合わせましょう。この【Av】は、絞り優先設定という設定です。
絞りを変えると、自動でシャッタースピードなどを変えてくれるので、絞りのことだけを考えて写真を撮ることができます。
以下、全てAvモードを使って撮った写真です。
例えば、この写真は、新郎新婦のイニシャルにピントを合わせて際立たせたかったので、絞りは開放F1.4で撮影しています。
この写真は、鏡に映る花嫁さんのバックショットも含めて撮りたかったので、絞りを絞ってF9.0で撮影しています。
これはギリシャのミコノスで撮った写真です。手前の建物のガラスに映る朝焼けが綺麗で写しました。手前のガラスから奥の船まで、しっかりピントを合わせたかったので、F11.0で撮っています。
こちらは、ドライフラワーの花束が闇から手前にうきあがってくるような感じで撮りたかったのでF2.8で撮影しました。
このように、絞りを変えることで意図を持った際立った写真を撮ることができるようになります。レンズの種類や焦点距離などによってもボケ方は変わってくるので、慣れるまでたくさんの写真を撮りまくるのが、上達の鍵です。
今日から、Pモード(全自動オート)を卒業してAvモード(絞り優先)で撮っていきましょう!
まとめ
今回は、一眼レフカメラの基本である「絞り」について簡単に書いてみました。
絞りを理解し使いこなせるようになると、写真の質が一気に上がります。そしてどんどん写真を撮るのが楽しくなっていきます。
上達への一番の近道は、意図を持って写真を撮りまくることです。
「自分はこれを際立たせたい!」「こんなイメージの写真を撮りたい!」と頭の中で浮かんでいる絵と、実際に撮れる写真を、絞りを調整しながら近づけていきましょう。
だんだんと慣れてくると、絞りこれくらいで撮ったらこんなイメージになるな、と分かってきます。
この記事が、皆さんの楽しい写真ライフの手助けになれば嬉しく思います。