お食事中の方、失礼致します。
突然ですが、う○こ漏らしたことありますか?
急に何を言い出すんだと思われたかもしれませんが、僕の自慢をしたかったのです。
他人に誇れる僕の唯一の自慢ですが、僕はここ10年くらいう○こ漏らしてません。こういうと、大抵の人は羨望の眼差しで僕を見てきます。そりゃそうでしょう。10年もの間う○こを漏らしていないのは世界広しと言えども、片手で数えれるくらいしかいないはずです。
そんな僕がネパールにて経験した九死に一生スペシャル、もとい「うんこ漏ら史」について詳しくお話させていただきたいと思います。
はじめに断っておきますが、お食事中の方とピュアな心を持った女性、花輪くんキャラの貴公子男性はこの記事を読んでも得られるものは何一つありませんので、戻るボタンをクリックすることをオススメいたします。
それ以外の方のみ、僕のう○この世界へご招待いたします。ようこそ。
調子に乗ったカトマンズ
家族でカトマンズに行きました。
カトマンズって楽しいですよね。
カトマンズに旅をされた方はご存知のように、バックパッカーの聖地でもありますし、なんとはなく心が踊る街です。人もピリピリしていないので、旅人が落ち着く雰囲気があります。
多くのバックパッカーと同様、僕もカトマンズの独特の雰囲気に気を良くし、このトリップを楽しんでいました。
カトマンズに着いた2日後の夜にそれは襲ってきました。
ステイ先の部屋でコーヒーを飲んでいた時、どうも催してきた気がします。
「あれ?なんかちょっとお腹痛いかも」と思ってトイレに行きました。特に何も出ません。
「気のせいか。あぶねえ。」と思い部屋に帰って数十分後、強烈な痛みが。
そこからはもう地獄でした。
ほぼ同時刻にお腹を壊した弟と、トイレを取り合います。お腹の中に何もないハズなのに容赦なく襲ってくる腹痛。ご丁寧に波があり、陣痛ってこんな感じなんかなと思いながら廃人となっていく自分。
う○ことお友達。
夜もうつらうつらする間もなく強烈な腹痛にうなされ、ほぼ寝ずに明かしました。げっそりとした弟を見ると、彼の方が深刻そうです。う○こ兄弟。
その日、僕らはステイ先で、トイレとベッドを往復する人生を過ごし、う○ことの友情を深める。何も食べれない。でもお腹痛い。
ここでさらなる問題が。
毎回トイレットペーパーを使っていたのですが、次第に触れるのも痛くなるおしり。一日に何回も拭くものではありませんので、突然の人気っぷりにおしりが恥ずかしがったのでしょうか。
でも拭かないわけにもいかないと、トイレの恥に端にふと目をやると見慣れないものが。
ネパールのトイレはこんな感じで、トイレットペーパーなんてものはなく、バケツに入った水と手桶があるのみで、いわゆるセルフウォシュレットなんですね。
はい。ピンときました。
ネパールではお腹壊す人が多いので、こういうスタイルなんですね。国民全員う○こ友達でしたか。安心した僕は、ネパールう○こ同好会に入会しセルフウォシュレットで洗うことにしました。
さ・い・こ・う。
おかげで、おしりの痛みがかなり軽減されました。さすが「漏ラシリスト」が多いと知恵がつくものですね。
ウォシュレットに感動したものの、一向に収まる気配のない腹痛。これはまず間違いなく食中毒でしょう。
弟と食べたものはほぼ同じですので、食べたものを思い出してみることに。
容疑者1:麺
まず、麺のお店。チャオメンだっけ。店員のあいつ手ぇ洗ってなかったんちゃうんか。
容疑者2も麺
こういうのも食べたなあ。辛かったし、香辛料がやばかったんちゃうんか。
容疑者3:ラッシー
朝のカフェで飲んだラッシー。あれ生だったよなあ。いやでもちゃんとしたカフェやったけど?
容疑者4:訳わからん奴
いや、待てよ。
弟が道端で買食いした、訳わからん焼き餅みたいなやつ。僕はヤバイと思ったんですが、弟が旨そうにバクバク食うので、食欲に負けてもらったやつ。あれが怪しい!
これや。
間違いない。
大仏みたいな顔したおばさんが作ってた訳わからん奴がどう考えても怪しい。
道に面した店なんですが、あの道が汚すぎた。牛や犬の糞がいたるところにあり、乾燥して舞い上がるというカオスな通り。簡単に言うと、牛の乾燥う○こ粉末を振りかけた食べ物ですね。あれや。あれに違いない。
アホみたいに買食いした弟と、カトマンズの平和な空気に騙されて食べてしまった自分を恨みながら、トイレのドアを閉めました。
人間の尊厳を捨てる
夜になっても、収まらない腹痛。
日本から薬を持ってきていたのですが、暖簾に腕押し、焼け石に水、ネパール腹痛に正露丸。
心配してくれたネパール人の友人が、薬をくれます。どす黒い緑色のカプセルに入ったなにかを飲みベッドに入ります。もうどうにでもなれ。
もしかして僕は一生この腹痛と生きていかなければいけないのか。僕の親友はう○ことなってしまうのか、平穏な生活が奪われてしまったのかと悲嘆にくれながら目をつむります。
この日僕は「便」と「死」が紙一重だと知りました。
実は明日は元々ヒマラヤを見にナガルコットというところに行く予定にしていた日です。
朝日を見るため4時に起きて出かける予定だったのですが、こんな下痢星人が車に乗って大丈夫でしょうか。
これは人生最大の悩みポイントです。
ヒマラヤは見たい。でも漏らすかもしれない。いや、漏らしそうになったら道路脇で…。そんな犬のような恥ずかしい事ができるか。旅の恥はかきすてってゆうても限度があるぞ、おい。
と悩みに悩んだ挙句、覚悟を決めました。
人間の尊厳は捨てる。「漏らし人」になる。僕はヒマラヤが見たい。
人生最大の決断でした。僕は漢になりました。ちなみに弟は人間の尊厳を選びました。
いざヒマラヤへ
翌朝、ホテルの毛布とおしりを拭く水と変えのパンツを手に、ナガルコットへ出発します。
カトマンズから車で1時間半くらいの道のりをボコボコセダンに乗って進みます。運転手には途中でトイレがあったら寄ってくれと念を押して。
激しく上下する車の振動が、僕のお腹にジャブを浴びせ続けます。けたたましく鳴り響くクラクションの音によって、便が肛門からトコロテンのように押し出される気がします。穴の空いた車のシャーシから見えるアスファルトが追い打ちをかけます。
何度となく襲ってくる波。固く閉めた門を叩き続ける客人。いやここは開いたらあかん。こいつは客人じゃない。門を開いたら僕はその瞬間に「漏らし人」になる。
そんな葛藤を幾度と無く繰り返すうちに車は山道へ。右へ左へ揺さぶられる体。頼むから早く着いてくれ。
祈りが通じたのか、僕の漢としての気合が勝ったのか、なんとかナガルコットの展望台へたどり着きました。
しかし、ここでさらなる問題が。
展望台に登るのは階段です。しかも結構な高さの階段。
これはどう考えても漏らす。
おしりをきつく締めたまま登る階段。だんだんと骨盤周りと大腿筋が痛くなってくる。次第に息が荒くなる。心なしかちょっとずつ意識もなくなっていく。おそらくエベレストの頂上直下を登る時はこんな感じなんだろう。無心で左右の足を動かす。
そして、、、
展望台のてっぺんへ。
そこで見た風景は、どんなこの世の景色より美しく、堂々とした山並みは力強さに満ち溢れ、う○こに苦しめられた僕をやさしく包み込んでくれた。
決して写真では表現できない美しさと壮大さがそこにはありました。
この素晴らしい景色を見て、
僕のおしりは、
ふっと緩み、
・・・漏らさなかった。
いや、そこは漏らすとこやろ。というご指摘は甘んじてお受けします。僕もあそこで漏らしておくべきだったと深く反省しています。
しかし僕のう○こは壮大なヒマラヤを前に空気を読んだのです。
ここは自分の出る幕ではないと。
こうして、僕のカトマンズは、う○ことトイレとヒマラヤという、鮮烈な印象を与え過ぎ去っていきました。
ちなみに、帰国後すぐに総合病院に行ったところ、母親より年上の看護婦さん1人と若い看護婦さん3人に囲まれ、あられもない格好で座薬を入れる練習台に使われたことは、今でも忘れません。
僕はこの10年間う○こを漏らしていません。