海外で病気やケガにより病院に見てもらった際、国民健康保険が適用され、帰国後に療養費が還付されます。
国民健康保険により、いくら還付されるのか、支給要件、必要な手続きについてまとめました。
いくら還付されるの?
海外で受けた治療を、日本で同等の治療をした場合の金額の7割が支給されます。(標準額)
日本の国民保険を使う場合、海外の治療費は全額自前で支払います。とはいえ、海外で支払った金額の3割が返ってくるわけではないというところがポイントです。
日本で治療した場合の金額の7割か、海外と日本の医療費を比較して安い方の7割が支給されます。
◯日本で治療した場合の金額の7割の場合
海外で支払った金額10万円 日本で治療した場合の金額が5万円の場合は、35,000円(5万円の7割)が支給されます。
アメリカなどの医療費は高額となり、日本で治療した場合に比べ高額の療養費を支払う必要が生じます。事前に海外旅行保険などに加入しておきましょう。
◯海外で支払った金額が少ない場合
逆に、海外で支払った金額2万円 日本で治療した場合の金額が10万円の場合は、14,000円(2万円の7割)が支給されます。
支給額算定の際には、支給決定日の外国為替換算率が用いられます。
支給要件は?
支給が受けられるのは、その医療が日本で保険対象となっている医療のみです。
したがって、以下の治療は適用となりません。
- 美容整形
- 高価な歯科材料や歯列矯正
- 性転換手術
- 医療目的で渡航した場合(臓器移植など)
また、海外旅行保険のように、死亡・後遺障害保険金・救援者費用などはカバーしていません。
ただし、一般的な海外旅行保険では対象外となっている慢性疾患や歯科治療は対象となります。海外保険でカバーしきれない医療を受ける場合は国民健康保険を使うといいでしょう。
念のためですが、海外在住の方で海外転出届を提出し国民健康保険から脱退している場合は、受給資格がありません。
具体的な手続きは?
療養費を還付してもらうためには、どんな医療を受けたかを証明する必要があります。
現地ですること、帰国後することをまとめました。
現地ですること
- 病気やケガで病院にかかる
- 療養費はひとまず全額自費で払う
- 診療内容明細書、領収明細書を医師に記入・サインしてもらう(治療内容の分かる用紙でも可)
必要な書類はこの2つ
医療機関に治療内容・医療費等の明細を記入してもらいます。仮に記入する際に費用が発生した場合は自己負担となります。
帰国(帰宅)後すること
医師の記入した証明書を翻訳します。専門の翻訳者である必要はありません。個人で翻訳するレベルで大丈夫です。
翻訳用に所定の用紙が準備されています。
帰国後、国民健康保険の窓口(市区町村・国保組合)にて、海外療養費の払い戻しの申請を行ないます。
上記の証明書と翻訳した用紙を提出しましょう。
※海外医療機関で発行された証明書類が外国語で作成されている場合には、日本語の翻訳文を添付することが義務づけられています。
提出後、審査が行われ、問題がなければ世帯主の口座に振り込まれます。(約2ヶ月後)
申請期限は、現地で治療費を支払った日の翌日から起算して2年間です。
海外療養費だけでは、こころもとない
実際多くの方は、海外旅行傷病保険やクレジットカードに付帯している保険で大体の出費は賄えるでしょう。
しかし、クレジットカードの保険が効かない場合や、海外保険に加入していない等、やむを得ない場合は国民健康保険の海外療養費の制度を使うことが出来ます。
デメリットしては、「翻訳に多少の手間がかかる・全額戻ってくるわけではない・払い戻しに2ヶ月かかる」などが挙げられますが、無保険状態よりは安心感があります。
海外に出かける際には、海外保険が自動付帯・年会費無料のクレジットカードなどを作成しておくと安心です。