バリ島アグン山の噴火により、バリ国際空港が閉鎖されたというニュースをご覧になった方も多いかと思います。
こちらの「バリ島火山ついに噴火!アグン山の噴火最新情報|飛行機のフライト運行状況。観光客への影響は?」の記事の中で書きましたが、そもそもアグン山からバリ国際空港までは70kmほど離れており、火山の噴火による直接的な被害は起きていません。
そんな中での飛行場閉鎖。
その原因は火山灰!
火山灰は飛行機にどんな影響を与えるのでしょうか?一体なぜフライトをキャンセルする必要があるのか簡単にまとめてみました。
火山灰で飛行機がフライトキャンセルになる3つの理由
① エンジンが停止する危険性
飛行機のジェットエンジンが火山灰を吸い込むと、火山灰の成分が溶けて付着し、エンジンのタービンを冷やすために開けられている穴などにも入ってしまい、エンジンを冷やすことができなくなります。
そして最悪の場合、エンジンが止まってしまいます。
実際に、過去に、火山灰の中を通過した飛行機のエンジン4つがすべて停止するという重大事故も生じています。
- 1982年 ブリティッシュエアウェイズ・ボーイング747のエンジンが4発とも停止。インドネシア・ジャワ島のガルングン山の噴火による火山灰の影響。
- 1989年 KLMオランダ航空・ボーイング747のエンジンが4発とも停止。アラスカ州アンカレッジのリダウト山の噴火による火山灰の影響。
② 計器類が狂う危険性
飛行機に取り付けられている計器類に火山灰が付着すると、計器類が正常に作動しなくなります。
例えば、飛行機の速度を測るピトー管と呼ばれる計器。(上記写真の赤丸の部分のヒゲのようなもの)このピトー管の測定用の穴が火山灰で詰まってしまうと、飛行機の安定飛行に欠かせない速度計が使えなくなってしまいます。
③ フロントガラスが見えなくなる危険性
火山灰の成分は、火山ガラスや鉱石など。このガラス成分がまた悪さをします。
この硬いガラス成分がコックピットのフロントガラスを傷つけ視界を奪っていくのです。
実際 ① で書いた、火山灰の影響でエンジンが停止した事故でも、コックピットがくもりガラスのようになり視界が奪われました。最終的に端の方にわずかに残った隙間から目視しながら着陸したそうです。
火山灰で計器類も故障し、コックピットのガラスも視界が奪われ・・。飛行機にとって火山灰がいかに危険かがわかりますね。
火山灰を避けて飛べないの?
火山灰は、吹き上げられたのち、上空6,000m〜12,000mほどの空気中を漂っています。
じゃあ高度を下げるか上げるかして飛べば影響を受けずに飛べるのではと、素人判断で思ってしまうのですが・・
- あまりに低い高度だと気流が安定せず安全な飛行ができない。
- あまりに高い高度だと空気が薄く浮力を得られない&機内の気圧を保てず最悪空中分解。
ということで、火山灰の漂う高度を避けて飛ぶことはできません!
いろんなことを考慮して航空法で厳しく定められているんですね。
まとめ
火山が噴火した場合、フライトキャンセルになることが多い飛行機。
フライトキャンセルや遅延などで、空港で足止めされるのは大変ですが、わたしたちの命を守るための決定。逆に感謝しなければいけませんね。
飛行機のキャンセルや遅延などに備えて海外旅行保険に入っておくと焦らずにすみます。ただし火山の噴火の場合、普通の海外旅行保険だけではカバーされない場合も。詳しくはこちらの記事をご覧ください。