いつどこで起こるか分からない自然災害。海外旅行中や海外滞在時に被災した場合、生存率を高めるにはどうすればよいでしょうか。
今回は、実際に海外で被災したわたしが、使って役立ったものや「あればよかった!」と後悔した防災グッズを6つご紹介します。
海外旅行者にも自分の命のためにぜひ持っていってほしいので、軽量でかさばらないものを中心に選んでいます。
- ネパール大地震の体験記はこちら。
参考記事:ネパール大震災を生き延びて〜大地震の日本人生存者が体験を語る
- 被災前にすべきことはこちら。
参考記事:海外旅行の前に準備しておきたい災害対策|被災前にすべき4つのこと
- 被災後にすべきことはこちら。
参考記事:海外で被災した時に行うべき7つのこと|ネパール大地震の被災者が語る海外防災マニュアル
海外旅行の持ち物で防災に役立つグッズ
① 携帯浄水器
外国では日本のように水道水をそのまま飲むことはできませんし、災害時はほぼ100%断水します。
さらに、海外の避難生活では、日本以上に物資が不足します。1週間や10日、またはそれ以上の期間、水や食料を含めた基本物資が滞る可能性が十分にあります。
地震による建物の倒壊から命を長らえたとしても、飲料水の無い環境のままで何日も過ごすなら、命が脅かされてしまいます。
そのような状況下で最も大切なことは、安心して飲める水を確保することです。
こちらの浄水器は、井戸水や川・湖の水を飲み水に適した水へと浄水・濾過してくれます。
1000リットルの浄化能力を備えていますので、単純に1日2リットル飲んだとしても、500日分の水を浄水することができます。
考えてみると、10人のグループで海外旅行に行き、万が一被災した場合でも、50日間の避難生活に必要な水を浄水することができるのです。
避難生活が長引いた場合でも十分な飲み水を確保することができるこの浄水器。グループの誰か一人がこの浄水器を旅行に持ってきているだけで、いざ被災した時の生存率がぐっと高まりますよ。
非常時以外はこんなにコンパクトになるので、手荷物やスーツケースの中でもかさばりません。
「いや、必要ないでしょ。この浄水器を詰めるなら、他のものを持っていきたい。」と思いますか?
もちろん、海外旅行で被災するリスクは少ないかもしれません。しかし、いざ被災した時に飲み水が安心して飲めることと、旅行中スーツケースの中のスペースがこの浄水器分だけ空くこと、どちらのメリットが大きいですか?
よく考えて、防災意識を高く持っておきましょう。
② シュラフ
災害時、海外では、倒壊の危険のない安全な避難所の確保が難しい場合があります。また、日本のように公共の施設が解放されることは全く期待できない国もあります。
そのような場合、屋外の路上や空き地で野宿しなければなりません。
実際、ネパール大地震の時には、相次ぐ余震から逃れた人たちが路上に溢れかえっていました。余震で建物倒壊の危険があったため、地震後数週間、被災者は屋外で寝ることを余儀なくされました。
路上で避難生活をしなければならない場合、本来はレジャーシートの上に毛布や敷き布団があると万全でしょう。
しかし、海外移住者ならともかく、海外旅行者の場合、日本からレジャーシートや毛布を持っていくというのは非現実的です。
そんな場合、この軽量シュラフがあるのとないのでは、雲泥の差が生まれます。
地べたに直接寝るのは、体の痛みが一番の問題だと思っていますか?実は、それだけでなく地面から伝わる湿気や夜露、虫にも悩まされることになります。
一方で、このシュラフは軽量なのに、中綿があり、防滴・防水加工がされていますので、地面から伝わる冷たさや不快な湿気をカットしてくれます。
もちろん、屋内の避難所で使う場合でもとても有効です。
もっと快適でもっと寝やすいシュラフや寝袋を、と考えていくとキリがありません。しかし、こちらのシュラフは軽量・コンパクト・格安という面から見て、万が一の時のために海外旅行者がスーツケースに忍ばせておくべきもののうちの一つでしょう。
③ 防災シート
災害時、屋外で日を過ごさなければならない場合があります。そうなると、戸外の気温の変化に対応しなければなりません。
サバイバル経験のある人であれば分かるはずですが、戸外では単純な気温だけでなく、風からも体を守らなければなりません。
気温がある程度あっても風が強く吹いていれば、体感温度はかなり下がりますし、体力もあっという間になくなってしまいます。
そのような場合、上のシュラフとセットで使いたいのが、この防災シートです。保温効果が高く、防寒対策としても使えますし、遮熱効果もあるので暑い時期にも有用です。
私自身、この商品は見た目が薄く、かなりコンパクトサイズなので、「役に立つのかな?本当に保温効果があるのか?」といぶかしんでいました。しかし、実際ネパール大地震の後、これを使用してみると、非常に有用だと感動させられました。
この防災シートは、薄いのに全く風を通しません。風に当たらないというだけで、体温が守られるので、被災地では体がホッとするものです。
さらには遮熱効果もあるので、暑い時期の被災地でも役立ちます。
ネパール大地震の時の気候は、昼間はじわーっと汗が出るほど暑く、夜は10度前後という寒さでした。防寒・遮熱どちらもできるこのシートには、本当に助けられました。
また、目隠しとしても使用できるので簡易トイレを作ることもできますよ。
こちらのアルミシートは個包装でポケットティッシュ程度の大きさですので、普段の旅行時スーツケースの中で場所を取ることは絶対にありません。必ず入れておきましょう。
④ ソーラーLEDランタン
ネパール大地震の後は、10日間ほど停電が続きました。
我が家は、大容量のインバーター&バッテリーを備え付けしていたのですが、それでも、いつバッテリーが切れるか分からなかったので、夜間の電気は極力使わないようにしていました。
でも、日が暮れてから翌日明るくなるまで、何もせずにじっとしているのは簡単なことではありません。ただ「暗い」というだけで、ここまで不安感が増すものなのか、ここまで心細さを感じるのかと思う日々でした。
また、日が暮れてからも、トイレに行くことなど必要不可欠な活動もありますので、灯りの確保はとても大切でした。
わたしは電池式のよくあるペンライトやランタンは持っていたのですが、電池が切れるともちろん使えなくなります。被災地では、灯りがないと本当に心細くなるんです。
そんな時、在留邦人の友人が使っていて非常に便利だと感じたものがあります。
それが、こちらのソーラーLEDランタンです。
こちらのランタンはソーラーパネルで充電できるので、有限の電池に頼りません。
しかも、よくあるソーラーパネル付きのライトは、どうしても灯り自体が弱々しいものですが、このランタンはとっても明るいんです。
ライトの上部のビニール部分が光を拡散するので、ライト自体の光量よりも明るく感じるんです。簡単な作りのように見えるのですが、本当によく考えられた商品です。
使用時以外は、このようにコンパクトになりますので、携帯にも非常に便利です。
直射日光7時間で満充電になり、6〜12時間使用可能です。
海外旅行に行く時に、スーツケースや手持ちバッグに忍ばせておいて、何もデメリットはないと思います。いざとなった時、あるのとないのとでは大違いですよ。
⑤ モバイルバッテリー
上にも書いたように、被災後、電源の確保は大きな問題でした。
我が家の備え付けバッテリーが切れてからは、1日に一回だけ携帯の充電を入れ電波状況やメッセージを確認する、というささやかな充電節約術を講じてはいたのですが、他になすすべなく、携帯の充電がなくなるのをただ待つのみといった感じでした。
わたしは、当時モバイルバッテリーも携行していませんでしたので、「モバイルバッテリーがあれば…。」と後悔したものです。
災害時、SNSやショートメールが無料で使えることがあります。携帯の充電さえあれば、外部と連絡を取り、必要な情報を得ることができるのです。
男性とは違い、女性旅行者は案外モバイルバッテリーの必要性を感じていない場合があります。実際、わたしがそうでしたから。
しかし、いざという時にモバイルバッテリーがひとつあれば、本当に役立ちます。
こちらのモバイルバッテリーは、スマホを8回充電できる容量を備えているのに、重さが353gと軽量コンパクト。
機内持ち込みの制限にも引っかからない海外旅行にピッタリのモバイルバッテリーです。
参考記事:Anker PowerCore 20100レビュー!コスパ最強の大容量モバイルバッテリー
もし災害に見舞われなかったとしても、モバイルバッテリーは有用な持ち物なので、女性の旅行者のみなさん!ぜひ一つ携行しておきませんか?
⑥ インナーセキュリティベスト
上にも少し書きましたが、災害時、安全な屋内で避難所生活ができるとは限りません。時には野宿をしなければなりません。
ネパール大地震の後は、特筆すべき暴動や大きな混乱は見られませんでしたが、国によっては、また状況によっては、火事場泥棒や強盗が発生する可能性も大いにあるでしょう。
避難生活では、自分のすぐ近くにどんな人が寝ているか知り得ません。自分がウトウトとしている時に、さっと貴重品を奪われる危険もあります。
そんな時、貴重品を守るには、このセキュリティベストが非常に役立ちます。
似たようなグッズに、セキュリティベルトもありますが、できれば上記のベストの方が良いでしょう。
なぜなら、ベルトよりも身につけられる貴重品の数が多いですし、ベルトよりもさらに盗みにくいんです。
財布・パスポート・携帯電話はもちろん、上記のモバイルバッテリーやLEDランタンなど、災害時にはどんなものが泥棒のターゲットになるか分かりません。
野宿の時も、屋外で避難している時も、貴重品を肌身離さず身につけておきましょう。
いざ大使館へ逃れることになった時にも、パスポートを携行しておくことは本当に大切ですよ。
まとめ
今回は、海外旅行者でも持っていきやすく、かさばらない防災アイテムを6つご紹介しました。
いざ被災した時に、快適な避難生活というのは存在しません。命を守ることのできる、最低限でそして必要不可欠の装備が上記のものです。
スーツケースの中のスペースがほんの少し空くことと、被災した時に防災グッズがあり命が守られること。メリットを天秤にかけましょう。よく考えて、防災意識を高く持つことが必要です。
また、もし全部揃えるのにためらいがあるなら、一緒に海外旅行に行くグループのメンバー各自ひとつずつ防災グッズを携行することにしてはいかがですか?