ネパールの女性たちを一酸化炭素中毒死から救うアイテム。"バングル"とは一体?

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世界中で毎年400万人もの妊婦とその赤ちゃんがガス中毒・一酸化炭素中毒により命を落としていることをご存知でしょうか?

ネパールでも、一酸化炭素中毒によって日常的に多くの死者が出ています。実は、当たびハックライターの一人もネパールで一酸化炭素中毒になり意識を失い死にかけたことがあります。

そのときの九死に一生体験記はこちら。

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ネパールと一酸化炭素中毒。

なぜネパールでは一酸化炭素中毒による事故が多いのでしょうか?

1つ目の理由は、室内のかまどで煮炊きを行う家が多いからです。ネパールの農村部などでは、いまだにガスを使わずに薪を燃やして、部屋の中で調理を行うのが一般的です。

カトマンズ郊外の農村部の家。薪で沸かしたお茶をいただいた。

また、昨年のインドによる国境封鎖の経済圧力の際は、カトマンズでもプロパンガスの供給がストップし、ほとんどの家やレストランが薪を使って調理を行っていました。

換気の悪い状況で、薪から出る煙により、一酸化炭素中毒を起こしてしまうことがよく起きています。

ネパールで一酸化炭素中毒が起こるもう1つの理由は、体験記の中にも書いていますが、シャワールームに置いたプロパンガスが漏れて一酸化炭素中毒を起こすケースです。

ネパールでは、トイレに自分でプロパンガスのボンベを置いて、瞬間湯沸かし器にガスホースを繋いでシャワーにして使うというのが一般的です。

ただ、取り付け自体がずさんだったり、ネパールで手に入るガスホースやアダプターの質が悪いことなどが原因で、ガスが漏れ出し一酸化炭素中毒を起こし多くの死者が出ています。

ネパールのトイレに置かれたプロパンガス。

実際僕らも、ゲストハウスで滞在中の欧米人がガス中毒で亡くなったというニュースを目にしました。

これだけガス中毒で亡くなったり、意識障害を抱える人が多いので、何かしらの対策が行われているかというと、今までこれといった対策は講じられてきませんでした。

日本では各家にガス警報機が設置されているのが当たり前ですが、ネパールではそのような対策商品は見かけたことがありません。

しかし先日、そういった一酸化炭素中毒で亡くなる人を少なくするための画期的な商品が開発されたというニュースが飛び込んできました。

一酸化炭素中毒対策に。ウェアラブル端末 "Coel"とは?

一酸化炭素中毒対策として開発された画期的な商品とは、バングル型の一酸化炭素検知端末です。

バングルとは、簡単に言うと「腕輪」のことです。インド・ネパール・バングラディッシュなどの女性たちはよくファッションとして付けています。

ネパール人女性のファッションアイテム、腕輪(バングル)。

この女性たちの着けている腕輪に注目し、バングル型のウェアラブル端末「Coel」を開発したのは、Grameen Intel Social Businessという会社で、妊娠中の女性を一酸化炭素中毒から守ることを目的に開発されました。

しかしそもそも一酸化炭素中毒が深刻な問題となっている国や場所は、貧しい場所なのでウェアラブル端末などとは一切縁が無い国です。ましてや電気さえ安定供給されていない場所も多くあります。

実際、ネパールでも携帯電話を持っていない女性がとても多く、電話をするときはご主人さんの電話を借りて使う人も多いです。また電話を持っていたとしても、スマホではなく、普通の電話しかできない格安の端末を使っている人が数多くいます。

これらのことを踏まえ Grameen Intel Social Business は、開発時にスマホがなくても単体で使えるウェアラブル端末にするという方向性に。

そして出来上がったのが、このバングル型ウェアラブル端末 Coel です。

Coel の主な機能

・妊婦への健康メッセージ
・一酸化炭素検出機能
・LEDアラーム
・防水機能
・現地語対応
・10ヶ月間もつバッテリー

まず、このウェアラブル端末をバングル型にしたというアイデアが素晴らしいと思います。見た目も付けていることを感じさせない自然な腕輪です。これなら、普段使いの腕輪と同じように付けっぱなしで違和感ありません。

画像:YouTube

また防水機能が付いているのは素晴らしいですね。防水機能付きだと、シャワーを浴びるときも着用したまま使えるので、シャワー中の事故も減ることでしょう。

洗濯などの際にわざわざ外す必要もないので、ずっと着けておくことができます。

また、最低でも10ヶ月間バッテリーが持つというのもよく考えられていると思います。毎日の充電となると、電気が安定供給されていない地域では使う人も少なくなっていくことでしょう。その点10ヶ月間使いっぱなし、付けっぱなしで大丈夫というのは本当によく出来ています。

なぜ10ヶ月かというと、それはこの端末が主に妊婦の健康を守ることを意識して作られているからです。Coelには約80のメッセージが録音されており、状況に合わせて妊婦の健康についてのメッセージを発します。

Coelを身につけることによって、妊婦中おなかの赤ちゃんにとって害となる一酸化炭素などから自分とおなかの赤ちゃんを守ることができるとともに、妊娠初期から出産間近に至るまで、適切なメッセージにより赤ちゃんに対する認識をより深めることができます。

Coel の価格は、12〜15ドル程度での販売となる予定です。

貧しい地域の家庭からすると、決して安い金額ではありません。そのお金があれば日々の食事のための米や野菜などを買うという家庭も多いことでしょう。

それでも、この Coel が世にでることで、貧困地域の女性たちの現状について皆が知る機会になりますし、もしかしたら支援の輪も広がっていくかもしれません。

いずれにしても、一人でも多くの赤ちゃんと母親の命を一酸化炭素中毒から救うことが期待されます。妊婦だけでなく、一般の女性たちも一酸化炭素検知器として使えるので普及していって欲しいものです。

公式ホームページによると、Coel は近日発売となっています。バングラディッシュ・インド・そしてネパールでの発売が計画されています。

まとめ

引用:YouTube

ネパールに来られる際は、一酸化炭素中毒に十分注意しましょう。この端末が発表されることにより、ネパールでも国全体として一酸化炭素中毒という問題に対して真剣に向き合う機会になれば良いなと思います。

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