今回は、マクロレンズの中でもあまりメジャーではないレンズ。タムロン180mmマクロの魅力についてレビューしてみたいと思います。
花のマクロ撮影が好きなら絶対に欲しくなるレンズです。
使い始めて約2年。おすすめポイントと、気になるポイントを作例とともにご紹介してみたいと思います。
TAMRON SP AF180mm F3.5 Macroレビュー
おすすめのマクロレンズを紹介しているページはたくさんありますが、このタムロンの180mmマクロをおすすめしているページはほとんどありません。それもそのはず。このレンズを愛用している僕も、この180mmタムロンマクロを皆にオススメするか?と言われると、おすすめしません。
- なぜ皆におすすめしないのか?
その理由は、マクロ撮影を始めようと思っている方にはちょっと扱いにくいレンズだからです。
初心者に扱いやすくておすすめしたいレンズは同じタムロンの90mmレンズです。みんながタム9と呼んでる名玉。
タム9について詳しく書いたレビュー記事はこちらです。
レビュー記事
TAMRON SP90mm AF2.8|銘玉マクロレンズをおすすめする3つの理由!
今回ご紹介するタムロン180mmマクロは、初心者にはオススメしませんが、ある程度マクロ撮影に慣れている方で、花を撮る機会が多い方にはぜひおすすめしたいレンズです。
僕自身、このレンズを使うようになってから、「花マクロ」の新しい世界が開きました。撮れる写真の感動が全然違います。
TAMRON SP AF180mm F3.5 Macroの良いところ
① とろける描写
マクロレンズの名玉と言われている、タムロン90mmの描写を受け継いでおり、なおかつ180mmという焦点距離だから出せる被写界深度の浅さ。
このレンズのお気に入りポイントは何と言っても「とろっとろに溶けるような描写」です。
溶けていると聞くと、ソフトな写りで解像度が落ちているのではと思いますが、シャープさも失っていないのがこのレンズの凄いところ。
シャープさを保ちながら、とろけるような描写を楽しむことができます。
② 色味が美しい
とろけるような描写に加え、色味が美しいのもこのレンズの特徴です。編集をかけていない撮って出しの状態でも、色がしっかり出ています。
これは個人的な感想ですが、タムロン90mmは色が若干抜けてコントラストが薄く写る印象。こちらの180mmの方がしっかりと色味が美しく濃いというか、人間の目の記憶色に近い印象です。
また、180mmという画角が成せる背景色の美しさもお気に入りポイントの一つです。
今までマクロレンズを35mm、90mm、105mmと使ってきましたが、やはり180mmは別格。
焦点距離の短いレンズと比較して背景の範囲がぐっと狭くなるので、単色の綺麗な背景をバックに被写体を浮き上がらせることができます。また被写界深度が浅いので、背景が思いっきりぼけ、余計なものの写りこみを軽減することができます。
上のポピーの写真もそうですが、背景の色や写りがごちゃごちゃしておらず、すっきりとした写真を撮ることができます。
③ AF/MF切り替えが簡単
普通AF(オートフォーカス)とMF(マニュアルフォーカス)の切り替えはレンズの横に付いている小さなボタンで行いますが、このタムロン180mmレンズはフォーカスリングを前後に動かすことでAFとMFを切り替えることができます。
これがなぜ便利かというと、ファインダーを覗いた状態で、AF/MFをスムーズに切り替えることができるんです。ある程度、AFでピントを合わせて、そこからじっくりMFで微調整という使い方ができ、ファインダーから目を離すことによるピント外しの心配がありません。
③ 価格が安い
タムロン180mmレンズ(キヤノンマウント)は、現在Amazonで ¥ 57,980 で販売されています。(マウントにより価格はいくらか異なります)
同じ焦点距離のよく比較されるマクロレンズに、同じくサードパーティー製のSIGMAのマクロレンズがあります。
F値が2.8スタートと、タムロン180mmと比較してより明るい(タムロン180mmはF3.5スタート)という良さはありますが、価格は ¥ 133,650とタムロン180の2倍以上。
この価格差をどう見るかというところですね。
個人的には、180mmという長い焦点距離は屋内での撮影にはあまり向かないので、よほど暗い環境でなければF値2.8スタートを求める必要はないかなと感じます。
※ 価格は2017年10月13日現在
TAMRON SP AF180mm F3.5 Macroの残念なところ
① オートフォーカスが遅い
オートフォーカスが驚くほど遅いです。しかも遅い上にけっこう迷います。
なので、動き物(蜂など)の撮影はピンを合わせるのが難しいです。上の蜂が飛んでいる写真、なんとか撮ってみましたがかなり疲れました・・。動きものはAFが速いレンズの方が絶対有利です。
なので、いま現在僕は、蜂や蝶など動く物メインで撮る時は、70-200mmのレンズ。花メインで撮る時は、180mmマクロと使い分けています。
このレンズを使う際は、マニュアルフォーカスが大前提です。でも花マクロの撮影の場合、マニュアルフォーカスでじっくり合わせて撮るというスタイルの人がほとんどではないでしょうか?
普段からマクロはマニュアルフォーカスという方は苦労しないと思います。ただ、焦点距離が長く被写界深度が浅いのでちょっと動くとすぐピントがずれます。
90mmから乗り換えた時は、苦労しました。何度も撮影に出かけるうちに慣れていきますけどね。
蜂や蝶などの動きものを撮りたい方は、70-200mmF2.8L IS Ⅱ などのAFの速いレンズの方がおすすめです。
② 手振れ補正が効かない
このレンズには手振れ補正機能が搭載されていません。三脚を据えての撮影なら問題ありませんが、手持ち撮影のときは、ブレないようにしっかりとホールドする必要があります。
といっても、僕は花のマクロ撮影のときは三脚は使わない派です。慣れてくれば、あまりに暗い環境でなければ手持ち撮影でも十分撮影できます。
シャッタースピードを1/180秒より短く設定することで手ぶれを防ぐことができます。いままで手ぶれがひどくてISOを極限まであげたというような経験はありません。
ちなみにこのページに載せている写真も全て手持ちで撮影しています。
手ぶれ補正あるにこしたことはありませんが、花をメインに撮影する場合、そこまで重要視しなくてもいいかなと思います。
まとめ
タムロン180mmは究極の花撮り用マクロレンズだと思います。
ボケ味の柔らかさ、色味の美しさ、主役を浮き立たせる被写界深度の浅さ、本当に素晴らしいレンズです。
今すでにマクロレンズを持っていて、次にステップアップしたいなと思っている方にはかなりおすすめのレンズです。